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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Read 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 188,242 characters · 380 screens

Aozora Bunko

七

「殺されましてございます」

「ふん、誰に殺されたのだ?」

「大事な賓客のお一人に」

「それはいったい何者だ?」

「そこに記してございます」

「ふん、そうか、こいつだな。高坂甚太郎、十四歳。なんだまだ子供ではないか」

「恐ろしい子供でございます」

「恐ろしい子供? 身分はなんだ?」

「ハイ、鳥刺でございます」

「鳥刺風情が恐ろしいのか」

「槍の名人でございます」

七

それを聞くと仮面の城主は、勃然怒りの身振るいをしたが、

「この城内の賓客へは一切武器を持たせぬが掟だ。そいつに誰が槍を持たせた!」

「いえ、黐棹でございます」

「ナニ黐棹? それが槍か?」

「ハイ、さようでございます。黐棹槍の高坂流、こう申しておりまする」

「それで二人を突き殺したのか」

「二人ながら咽喉を突かれ殺されましてございます」

「さては素晴らしい手練と見える」仮面の城主は眼をひそめた。

「で、根からの鳥刺かな」

「いえ、本来は甲斐の国、武田の家臣だと申しますことで」

「ははあなるほど、侍だな。……ふうん、甲州武田家の家臣……そうして姓は高坂だな?」

城主はじっと考え込んだ。

「で、お許しを受けまして、絞りに掛けたいと存じます」