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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Read 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 188,242 characters · 380 screens
第五回
一
一
「月子殿相変らず美しいの」
こう言いながら陶器師は傍らの円座へ腰をおろした。
「何をおっしゃるやら、来る早々。……」月子は笑いもしなかった。自分も円座へ坐ったが相手の顔をじっと見る。
陶器師はまぶしそうに、「見てはいけない。見てはいけない。お前に見られると身が縮む。……そう人の顔を見るものではない」
「厭なお顔に成られましたな。……これでは参らずにはおられますまい」
「……で、俺は今日来たのだ」
「あなたのお顔を見ておりますと、プーンと血の香が致しますよ」
「日に一人はきっと斬ったからな」陶器師は微笑んだ。それは血吸鬼の笑いである。
「商売はどうだな? 繁昌であろうな?」
「お蔭様でまず繁昌」月子の声は冷静である。
「本業の方か? 副業の方か?」
「副業の方でございます」
「世間には馬鹿が多いと見える」
「はい、そういうあなた様も」
「俺か?」と陶器師は顔を曇らせ、「俺は余儀ない必要からだ」
「余儀ない必要からでございますとも」女面作師は初めて笑い、
「お気の毒でございますな」
「憐れんで貰う必要はない!」陶器師は不機嫌である。
「まだお逢いになれませんか?」
「見当も付かない! 見当もな!」