Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Read 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 188,242 characters · 380 screens

Aozora Bunko

四

四

こういうことがあってから一月ほど経ったある日のこと、老人と童子の一行が富士の裾野を歩いていた。

「菊丸よ菊丸よ、さあ唄ったり唄ったり」

「かしこまりました、ご隠居様」

そこで童子は唄い出した。

花の散るのは風のため

月の曇るは雲のため

サッササッサ

サッササッサ

「うまいうまい、なかなかうまい。今度は私が唄おうかな」

「お唄いくだされ。お唄いくだされ」

そこで老人は唄い出した。

どんつくどんつくドッコイショ

どんつくどんつくドッコイショ

ヨンヤヨンヤ

ヨンヤヨンヤ

どうも一向面白くない。訳のわからない唄である。

二人はポクポク歩いて行った。

「菊丸よ、菊丸よ」

また老人はやり出した。

「おん前に、ご隠居様」

童子は心得たものである。狂言の型で返辞をした。

「謎々しようじゃまろまいか」

「掛けさしませ、掛けさしませ」

「赤くて白くて真っ黒け、サアサこいつは何んでござる?」

「ううん、こいつは困ったな」

菊丸はとうとうベソをかいた。

それが老人には面白いと見えて、ニヤリニヤリと笑っている。

「解りません、あげました」

「おやおやこいつは困ったね。ところで私も存じません」

これで謎々も寂滅となり、二人は黙って歩いて行った。