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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Read 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 188,242 characters · 380 screens

Aozora Bunko

その後晴信は父を逐い自ら甲斐の大守となったが、晴信をして父を逐わせたのも、庄八郎の献策からであった。

さすが寅歳の産れだけに信虎は豪勇の性格であり、その性格が役立って、甲斐国内の豪族ども、すなわち都留郡の小山田氏、東郡の栗原氏、河内の穴山、逸見の逸見氏、また西郡の大井氏なぞを権威をもって抑え付け、悉く臣下としたばかりか、隣国信濃では平賀、諏訪、また小笠原氏、村上氏、木曽氏などとも兵を構えて甲斐武者の威を輝かせたが、永正十七年飯田河原で遠州の大兵を破って以来、すっかり天狗の鼻を高め、暴戻の振る舞いが多くなりむやみと家来を手討ちにした。累代の四臣と云われたところの馬場虎貞、山県虎清、工藤虎豊、内藤虎資、四人ながら手討ちになり、この他硬骨の士五十人、刀の錆となったのであった。

そこへ起こったのが家督問題で、森厳沈痛の晴信よりも颯爽軽快の次子信繁の方が、信虎の性質に合うところから、それを家督に据えようとした。

驚いたのは老臣どもで憤慨したのは晴信である。そうして妙策を献じたのは土屋庄八郎昌猛であった。

「殿、ご心配には及びませぬ。今川をお頼みなさいまし」