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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 137,868 characters · 278 screens

Aozora Bunko

そんな事は、いずれ話の進行につれて判ることです。それより、いきなり事件のクライマックスなる「百物語」のことから、この物語を始めましょう。

「ね、旦那、先代の大旦那が亡くなられてから、もう一年以上経っているでしょう、いつまでも湿々していたって、追善供養の足しになるわけじゃありません。このお盆には一つ、素人芝居でもやって、町内中を陽気にして、うんと人気を引立てようじゃありませんか、憚りながら二枚目と立役には事を欠きませんよ、ヘエ」

町内の油虫、野幇間のような事をしている赤頭巾の与作が、こんな調子に煽動したのは、六月の末でした。

「今から素人芝居の仕度じゃ、盆の間に合わないよ、もっと気のきいた、キャッキャッと来るような遊びはないものかね」

祐吉も満更そんな事の嫌いな柄でもありません。

「キャッキャッと来るのなら、百物語なんかどんなもので」

「何だい、その百物語――てえのは」

「近頃大変な流行りですぜ。行灯を二三十持出して灯心を百本入れ、煌々と明るくした部屋で、怪談を始めるんで。話が一つ済むと灯心を一本引く、十本二十本と灯心を引いて、九十九本引いた後が大変で」

「なるほどね」