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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 137,868 characters · 278 screens
七
「ヘエ――、それは構いませんが、ね、親分、何日ぐらいかかるでしょう」
「相手は容易ならぬ曲者だ、明日挙げられるか、明後日挙げられるか、それとも十日、一と月かかるか」
「冗談じゃありませんよ、親分、米櫃は空っぽですよ、下手人が七日も挙がらなかった日にゃ、あっしは干乾しだ」
「心配するな、その時は米代ぐらいは立て引いてやる、銅六の干物なんざお上だって有難くないよ」
「ヘエ――」
心細そうにする銅六を見捨てて、平次の足は一軒置いて隣の魚屋伝吉の家へ向っておりました。
七
「これは、親分」
これも足止めを喰らっている伝吉、少し迷惑そうな顔を平次の前に出します。
「とんだ気の毒な隣付き合いだが、掛り合いだ、何事も隠さずに話してくれ」
「ヘエ」
そう言う伝吉は、腥い身扮にも拘わらず、本当に良い男でした。少し焦けた真珠色の皮膚の色も、糸を引いた三白眼も、絵に描いた若衆に袢纏を着せたようで、界隈の娘達に騒がれるのも無理のないことです。
「隣の周助とは、大層懇意だったそうだな」
「ヘエ――、親身も及ばぬ深切にしてくれやした」
「お澪との仲を取持ったのも周助かい」
「取持ったというわけじゃありませんが、何としてもウンと言ってくれないお玉ヶ池の父さん(石沢閑斎)を納得させて、きっと二人を一緒にしてやる、閑斎が何と言おうと、俺には俺の考えがあるから――