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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 137,868 characters · 278 screens
四
銭形平次は、黙ってそれを見ていたのです。飛入りの三輪の万七の苛辣な調べが、平次にいろいろの事を教えてくれるのでしょう。
四
「親分、いい心持だぜ」
「何だ、八」
「三輪の万七親分大眼鏡違いさ。銅六が帰って来たのは、伝吉の後と解ったんだ」
「すると伝吉が嘘を吐いたのか」
「それが変なんだ。伝吉は友達のところに祝儀があって亥刻半(十一時)過ぎに帰ったって言うが、灯は亥刻ずっと前から点いていたそうです。証人は並び長屋に二三人あるから、こいつは間違いっこはねえ」
「フーム」
「銅六が表の酒屋へ貧乏徳利をブラ下げて行ったのも本当だが、そいつは亥刻半過ぎだ。酒屋が言うんだから、嘘じゃねえ」
「…………」
「あんな浅まな三軒長屋の真ん中に住んでいる周助を殺して、両隣に知れねえわけはねえ。銅六のいないとき伝吉がやったか、伝吉の留守を狙って銅六がやったか」
方々嗅ぎ廻って帰った八五郎は、威勢よくまくし立てるのでした。
「右も左も留守だったら、どんな事になるんだ」
平次は横槍を入れました。
「おっと、そこに気のつかねえあっしじゃねえ」
「近頃めっきり智恵が付いたんだね」
「赤ん坊と間違えちゃいけませんよ、――ね、親分、聞いて下さい。