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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 137,868 characters · 278 screens
二
あっしはそれが気に入らないんで」
「たいそうな意気込みだな、次平」
成瀬九十郎は強いても争わず、ただニヤリニヤリと笑っているだけです。
二
山脇玄内の跳梁はそれからまた一段と目ざましくなりました。襲われるのは大抵高家大名、でなければ大町人で、盗られる金も百両、二百両と纏まった口ばかり。それを貧乏人にバラ撒くのが山脇玄内の道楽らしく、玄内の活躍が激しくなればなるほど、心なき江戸っ子は喝采を送るのです。
中には、不義の富を積んでいる者を襲って、有り金を奪い取り、それを正統の持主に還して溜飲を下げたりすることもありました。が、どんな弁解があるにしても、山脇玄内が泥棒を働いていることには何の変りもありません。
それから二三日経ったある晩、山脇玄内の増長は羽目を外して、市ヶ谷の尾州家上屋敷に忍び込み、その金蔵に潜り込んで、千両箱を二つまで盗み出したのです。
六十一万石の大大名、御三家随一の名家でも、これは捨て置くわけに行きません。当面の責任者御蔵番奥宮鏡太郎は、用人玉垣三郎兵衛に伴われて神田の平次を訪ねて来ました。
「昨夜酉刻(六時)から戌刻(八時)までの間、御門の締る前後、詳しく言えば御蔵の戸前に錠をおろす前後の、ほんのちょっとした隙にやられた。