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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 137,868 characters · 278 screens
六
「主人の貫兵衛は?」
「旦那様と、お袖さんは、私と七平さんの間に居りましたよ」
「フーム」
今度は平次が黙り込んでしまいました。
六
「八、昨夜船に乗っていた人間を、片っ端から調べ上げてくれ」
「ヘエ――」
「男も、女も、どんなつまらない事でも聞き漏らしちゃならねえ。七平と懇意なのや、七平に怨みや恩のあるのは、とりわけ大事だよ」
「そんな事ならわけはねえ」
「急ぐんだよ、八」
「ヘエ」
「それから磯屋の貫兵衛も、身上から女出入りまで、根こそぎ調べて来い、こいつは一番大事だ」
「心得た」
「一人で手に負えなかったら、下っ引を二三人駆り出せ、明日の朝までだよ、八」
平次の言葉を半分聞いて、八五郎は飛出しました。
それから半日。
「親分」
八五郎はもう帰って来たのです。
「どうした、八」
「いろいろの事が判りましたよ」
「話してみな」
「お蔦が七平の細工で、菊次郎と割かれたことは――」
「それはもう判っている」
「菊次郎はとんだ野郎で、金と女を取込むことにかけては大変な名人ですよ」
「…………」
「お蔦と手を切って、近頃はお袖に夢中になっていますよ」
「フーム」
「兄貴の磯屋の身代を、どれだけくすねたか解りゃしません。