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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 137,868 characters · 278 screens
「与力笹野新三郎、上様の御姿を拝借して、そのほう親娘の企みを見破りに参ったのだ。神妙にしろ」
と、高い声ではありませんが、ツイ調子に乗って名乗りを上げてしまいました。
これが非常に悪かった――というのは、障子の外で、深怨の眼を光らせていた峠宗寿軒、娘の声にハッと驚いたところへ、続いて笹野新三郎の名乗りです。思わず起ち上がるのへ冠せて障子の内から、
「父上ッ、露見――早く、早く、地雷火ッ」
と娘のお小夜が悲痛な声を絞ります。
「おッ、娘、さらばだぞッ」
ヒラリと縁側から飛降りると、廂の上から銭形平次が、パッと飛付くのと一緒でした。
「野郎ッ、どこへ失せやがる」
もとより捕物の名人、寸毫の隙もありませんが、困ったことに宗寿軒は思いの外の剛力で、それに平次は、まる二日物を食わない上、廂から飛降りる機みに足を挫いて、進退駆引自由になりません。
「エッ、面倒」
二人はそれでも負けず劣らず捻じ合いました。あまりに咄嗟の出来事で、遠ざけられた近習達が、駆け付ける暇もなかったのです。
そのうちにお小夜の帯がバラリと解けました。銀の厚板の一と抱えほどあるのが、笹野新三郎の手に残ると、お小夜は脱兎のごとく身を抜けて、