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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 137,868 characters · 278 screens

Aozora Bunko

近頃磯屋の身上が歪んで、伽羅大尽の貫兵衛は首も廻らないのに、菊次郎だけは、大ホクホクだ」

「磯屋がそんなに悪いのか」

「この盆は越せまいという話ですよ。何しろ十年越しの駄々羅遊びだ。どんなに身上があったってたまったものじゃない。それに、義弟の菊次郎を始め、巴屋七平、江崎屋清五郎などは、滅茶滅茶に煽てて費わせて、そのかすりを取ることばかり考えているんだ」

「清五郎と七平の暮し向きはどうだ」

「野幇間を稼業のようにしているくせに近頃は大変な景気だ。ことに清五郎なんか、地所を買ったり、家を建てたり、おりんの身請けをするという話もありますよ」

「よしよし、それでだいぶ判ったようだ。ところで、八、横山町の町役人に会って、明日の辰刻(午前八時)前、磯屋の主人貫兵衛が、御手当になるはずだ、万事抜かりのないように仕度をしておけ――とこう言っておいてくれ」

「それは、本当ですか、親分」

「本当とも、笹野の旦那には、あとでそう言っておく、――こいつは大変な捕物で、抜かっちゃならねえ」

「あんまり早く町役人に言っておくと、磯屋の耳に入りますよ」

「それでいいんだよ」

「ヘエ――」

「おッと待った、八」