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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 137,868 characters · 278 screens

Aozora Bunko

あ な か し こ

え の ち を す

ま い わ か み

た お の と や

め ち ち に か

こんな具合になります。

「これが平次殿、お屋敷奥庭の祠、何様とも判らぬまま、お稲荷様と申している社殿の中にあったのじゃ」

「ヘエ――」

「それも一度や二度ではない、三度までも」

石川孫三郎も、ゴクリと固唾を呑みます。

「どんな弾みで、見付けなすったんで?」

平次の好奇心もかなり揺すぶられます。

「二百十日の嵐で、お屋敷の廂も塀も、奥庭の祠もひどく傷んだ。あちらこちら手入れをするついでに、雨漏りのひどくなった祠も修繕させようと思うと、正面台の上に、これがキチンとのっていたのじゃ」

「御本尊は?」

「御本尊と言ってはない。祠の中には、御幣が一本立っているきりだ。その御幣も雨漏りでひどく汚れたが、その御幣の前の台の上に、これが畳んだまま置いてあったのじゃ」

「汚れもせずに」

と平次。

「左様、――たぶん嵐の後で置いたものであろう。台はまだ乾き切ってはいなかったが、この紙には何の汚れもなかった」

「ヘエ――」

「それだけならよい。が、何と申しても不気味な紙片だから、拙者一存の取りはからいで、祠の前で焼き棄ててしまったが、翌る日の朝、何気なく覗いてみると、また同じものが台の上に供えてある」