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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 137,868 characters · 278 screens
手に取って見ると、紙に包んで小僧二人の分は十両ずつ、下女と下男へ五両ずつ、手代へ五十両、居候の鞍掛蔵人へ二百両。
「お前さんのはないようだね」
「ヘエ、残りを私が頂戴することになっております」
「大層なことだね」
「それから貸金の方は、山名屋の後を継ぐ方に引渡します」
「なるほど、――ところで、この包の上に書いた字は、主人の筆跡かい」
「さようでございます」
「それにしちゃ墨色が新しいようだが――」
「…………」
平次が指先に力を入れて、包んだ紙を揉み砕くと、
「あッ」
中から出て来たのは、斑々と鮮血に染んだ、小判が二百枚。
「親分」
「あわてるな八、下手人はあの浪人者じゃねえ、こんな手数のかかった細工をした黒鼠だ」
平次が差した指は、真っ直ぐに元吉の血の気を失った額を指したのです。
「御用ッ」
飛付く八五郎、全く一とたまりもありません。
*
「あの番頭が悪者とは驚いたね」
ガラッ八は絵解きが聞きたそうな顔です。下手人の元吉を送った帰り途。
「跡取りのない山名屋だもの、主人が死ねば、番頭の一存で身上はどうにでもなるのさ。最初俺は浪人者をあやしいと睨んだが、だんだん調べて行くうちに違って来た――」