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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 137,868 characters · 278 screens

Aozora Bunko

「すると下手人は」?」

「困ったことに、俺にも判らねえよ」

「ハッハッハッハッハッ」

平次の言葉の唐突な調子に、佐吉は思わず笑ってしまいました。

佐吉の大笑いで二人の間の蟠りが取れると、平次は改めて春日家の一人一人に当ってみました。主人の春日藤左衛門は、

「なんにも心当りはありません。足は不自由だったが、あの娘は心掛けの良い娘で、人様に怨まれるはずもなく、こんなことになっては、可哀想でなりません」

そんな事を言うだけの事です。

「縁談の事とか、婿の話は」

と平次。

「そんな事は耳を塞いで、聴こうともしなかった娘です。可哀想に、諦めていたのでしょう」

「それから、話は違うが、その禁制の曲とやらは、本当に祟るものでしょうか」

「さア、――まさかね」

平次の真面目な態度に引入れられて、春日藤左衛門は本当の事を考えていたのです。家柄だけに、笛の奇蹟を信じたいことは山々でしょうが、娘一人を殺した相手が、鬼神や魔神の仕業では、親心が承知しなかったのです。

「二人の内弟子のうち、どっちが笛がうまいでしょう」

平次の問はいよいよ定石はずれです。

「一色友衛の方が少しうまいでしょうが――」