Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 137,868 characters · 278 screens

Aozora Bunko

「呆れ返るぜ」

どんな仔細があるか解りませんが、杯事の始まる前、聟の支度部屋を占領して、平次はガラッ八相手にこんな無駄を言っているのでした。

「大丈夫だったのかい、八、よく脇腹のあたりを見るがいい、槍の棘なんか残っていると、後でとがめるよ」

「冗談じゃない、槍の棘なんか立てられてたまるものですか、――本当にそんな危ない聟入りだったんですかい、親分」

ガラッ八も、済んだことながら、今さら怖気をふるいました。

「大丈夫だよ、吠える犬は噛み付かない」

「ヘエ――」

「その上、途中は二十人もの眼で見張らせたんだ。信三郎や浪蔵は指も差せるこっちゃない」

「驚いたね、どうも。そんな話を聴くと脇腹がムズムズしますよ」

「三三九度の杯さえ済んでしまえばこっちのものだ。人の女房になってしまったお福のために、人殺しの罪を背負って、処刑台に載っかるのはどう考えたって智恵がなさすぎるよ、今晩一と晩だけ越せば天下泰平さ」

「そんな思いまでして、あの錦太郎とかいう野郎は祝言をしたいのかね、男の切れっ端のくせに」

八五郎が少しく義憤を感じたのも無理のないことでした。仲屋の錦太郎というのは、身上こそ軽いが、なかなかの好い男で、金持の一人娘で、神田で指折の綺麗首であるにしても、評判の蓮っ葉娘の聟には惜しいほどの若者だったのです。