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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 137,868 characters · 278 screens
「少し話して行くがよい。次平は生れながらの忍術使いだ、二三年みっちりやると、うまくなるぞ」
成瀬九十郎はそんな事を言って、大満悦です。
「あっしは、先生?」
ガラッ八は側から鼻を出しました。
「五郎八は駄目だ」
「ヘエ――?」
「生れながらの鈍根だな、お前は」
「ヘエー」
まるっきり型無しです。
「ところで先生」
平次は静かに切出しました。
「何じゃな、次平」
「近ごろ御府内を騒がしている山脇玄内とかいう泥棒、あれはやはり忍術の心得があるのでしょうな」
「心得どころではない、忍術名誉の達人だな。南北両奉行の役人が、歯ぎしりしたところで、山脇玄内を縛ることなどは思いもよらない」
「それほど心得のある者が、押込夜盗の真似をするとは憎いじゃございませんか」
「いや、これにも仔細のあることだろう。例えば、山脇玄内は義賊といった輩かも知れぬではないか」
成瀬九十郎はケロリとしてこんな事を言うのです。
「その義賊というのを、あっしは大嫌いなんで。貧の盗みは百文盗っても世間は許しゃしません、義賊と名が付くと、百両盗って十両か二十両だけ貧乏人にやり、あとは自分の贅沢に費っても、世間じゃ見上げたもののように言い囃します。