Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 125,671 characters · 252 screens

Aozora Bunko

第一自分が殺したものなら、此辺に近寄るものですか、とんでもない」

網から脱出そうとする一生懸命さがさせる業でしょう。この少々焼きの甘いやくざは思いの外の雄弁になります。

「そいつは言訳だ、身に覚えのある者は、必ず一度は殺しの現場を覗いて見たくなるものだよ」

「親分」

「まァ、いい、――ところで、お前は此家の御新造に用事があると言ったが、それはどんな用事だ、言って見るがいい」

平次は新たな――そして重要な問に入りました。

「そいつは申上げ兼ねますが」

良い男のやくざはポリポリと首筋を掻きます。

「つまらねえ遠慮じゃないか、お前の首が飛ぶか飛ばないかの大事な岐れ目だよ」

口を出したのは、八五郎でした。

「よしよし、こいつは差しで訊くのが本当だろうよ、ちょいと番所まで――」

「申しますよ、親分、この話は目黒で知らない者もなく、此家の旦那だって薄々は、呑込んで居る筋だ」

「――」

「何を隠そう新造のお通さんはまだ頭を円めて目黒の庵室に居る頃、このあっしとは言い交わした仲で――」

「馬鹿ッ、――何んというつまらねえ事を言いやがるんだ、お前の話を聴いて、御新造は障子の陰で泣いているじゃないか」