Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 141,130 characters · 288 screens
早耳のガラッ八は、変な臭いを嗅ぐと、親分の平次を駆り出しに来たのです。
「そいつは御免を蒙ろう。今日は少し血の道が起きているんだ」
「ヘエー、そいつは知らなかった。裏で張物をしているようだったが」
ガラッ八はここへ飛込むときチラリと目に留まった、姐さん被りの甲斐甲斐しいお静の姿を思い出したのです。
「血の道はお静じゃない、俺だよ」
「ヘエー親分が、血の道をね?」
「眩暈がして、胸が悪くて、無闇に腹が立って――」
「そいつは二日酔じゃありませんか」
「男の二日酔は血の道さ。今日は一日金持の隠居のように、暢気な心持でいたいよ。お前が一人で埒をあけて来るがいい。赤ん坊が井戸に落っこったくらいのことで、八五郎兄哥を働かせちゃ済まねえが、万両分限の一と粒種が変な死に様をしたのなら、思いのほか奥行のあることかも知れないよ」
「ヘエ――」
「何をぼんやりしているんだ、早く行ってみるがいい。あ、それから、子供が井戸へ落ちたのを誰がどうして見付けたか。見付ける前に水を汲まなかったか。水を汲んだら、それを呑んだ奴と呑まない奴とを調べるんだ。いいか、八」
平次はこの事件だけでもせめて八五郎の手柄にしてやろうと思うのでしょう。