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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 141,130 characters · 288 screens
七
死ぬまで介抱した子分の宇太八と娘のお照が、三年越しお狩場の四郎の怨みを言い含められ、四郎が死ぬと、江戸へ出て来て、向柳原の借家に入り、宇太八は世を忍ぶために小間物屋を始め、お照はその娘ということにして、金ずくで伝手を拵え、この春桜屋に住み込んだ」
「それでみんな解った」
「あっしが五日四晩飛び廻ったのは、無駄だった事になるね、親分」
「いや、そうじゃねえ。俺がくうに考えていたんじゃ、本当か嘘か見当がつかねえ。房州まで行って本当のところを突き止めて帰ったから、安心して出向かれるんだ」
「それじゃ親分」
「疲れているだろうが、六丁目まで一緒に行くか」
「京大坂でも行きますよ、親分」
二人は五日目で麹町六丁目へ飛びました。
七
「五日の間、物を考えてばかりいたんですかえ、親分」
そんなに物を考えられることが、ガラッ八には不思議でならなかったのです。
「いや、少しは動いたよ。向柳原の宇太八も見張ったし、娘が殺された日、谷五郎の出た先も調べてみたし」
途々二人は話し続けました。
「あの日谷五郎はどこへ行ったんでしょう」
「飯田町の得意へも顔を出したが、――それから、友達の家と叔母の家へ行ったよ」