Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 141,130 characters · 288 screens
七
「明後日、処刑の日はちょうど五日だ。浪五郎が赤羽橋の水天宮様へ、お詣りに来る日だろうな」
「雨が降っても、槍が降っても、正午の刻にはきっと来るはずです」
「鈴ヶ森の処刑も正午の刻、赤羽橋のお詣りも正午の刻」
平次は深々と腕を拱きました。
七
その晩平次と八五郎は安宅に飛んで、船比丘尼のおえのを捜しました。
が、なんという不運でしょう。おえのは十日ばかり前に大酒を呑んで頓死し、葬いも何も済んでしまったと聴いては手の下しようもありません。
その死んだ日か、前に来た客のことを訊きましたが、下等な船比丘尼の客などは誰も気に留めず、そこにも探索の手蔓は絶えてしまいました。
「この上は五日の昼頃、浪五郎という船頭を捕まえる外に術はない」
平次はそんな頼み少ないことを言うのです。
その翌々日、とうとう三月五日という日が来てしまいました。
親殺しの主殺し、五逆五悪の大罪人小三郎は、裸馬に乗せられて、幾十人の獄卒に護られ、罪状を書いた高札を掲げて、江戸中目貫の場所を引廻しの上、鈴ヶ森の処刑場に着いたのは、巳刻半(十一時)少し過ぎでした。
その日は自棄に良いお天気で、春の青空が深々と光って、竹矢来の中にも、数千の群衆の頭の上にも、桜の花片が、チラホラと散って来ました。