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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 141,130 characters · 288 screens
「気が付いたか、八」
「こいつは、上から落ちた材木や石に打たれて死んだんじゃありませんね」
「その通りさ。材木や石に打たれて死んだように見せかけているが、重三郎の頭を打ったのは、極く小さい石だ。――人間を丸ごと押し潰すような材木や石じゃないよ。第一そんな重いものを穴の上に持上げるのは、一人や二人の力では出来ない。それに、あの仕掛けはツイ五日か三日前に拵えたものだ」
平次の言葉は至って印象的ですが、恐ろしい疑問を次から次へと投げかけて行きます。
「?」
「重三郎は宝捜しのつもりで穴へ入って行った。――穴は狭くて身体を返すわけには行かないから、出る時は尻から出て来た。――大骨折りで首を出した時、誰か穴の外に待ち構えていて、手頃の石で頭を打ち割ったのさ。上から落ちた石が、あんなに都合よく頭の上へ来るものか」
「すると?」
「企みは思ったより深い。重三郎の懐中や袖の中をもう少し念入りに捜してみるがいい」
平次とガラッ八は気の進まないらしい富蔵に手伝わせて、死骸の身体を念入りに調べて行きました。
「こんなものが袂の中にありましたよ、親分」
「なんだ、大福帳の端っこを鋏で切ったのじゃないか、――いなりのうしろ、あなのなか――と書いてあるのか、これは誰の字だ」