Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 141,130 characters · 288 screens
「聴いたよ、――が、二本差と鉄砲汁は親の遺言で用いないことにしてある」
「へッ、こいつはたまらねえ御用始めですぜ。親の遺言はしばらく鉄砲汁の方だけにしちゃどうです」
ガラッ八はいつの間にやら、日向一パイに塞がって、お先煙草を立てつづけに燻らしているのでした。
「ことと次第じゃね、――話してみな、どんな筋なんだ」
暮からあぶれている平次は、まんざらでもない様子です。全く松の内から江戸中を駆けずり廻って、親分のために素晴らしい御用を嗅ぎ出そうとしていた、ガラッ八の心意気を知らないわけではなかったのでした。
「ね、親分。幽霊が人を殺すでしょうか」
「何を下らねえ」
「生霊、死霊てえ話は聴いたが、足のねえ幽的が、後ろから脇差で人を殺すなんてことがあるでしょうか」
「馬鹿も休み休み言うがいい。そんな物騒なエテ物が、箱根のこっちにいてたまるものか」
平次は頭からけなしつけますが、その癖ガラッ八の話に、充分すぎるほどの興味を動かした様子でした。
「本当ですよ親分。川波勝弥って年は若いが、恐ろしくヤットウのうまいのが、神楽坂で芋のように刺されているんですぜ。側には川波勝弥を怨んで死んだ娘の、懐ろ鏡が落ちて割れているなんざ、そっくり怪談ものじゃありませんか」