Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 141,130 characters · 288 screens

Aozora Bunko

「脇差を刺した時、少しは返り血が飛んだろうと思うが、奉公人の着物を見たかい」

「見ましたよ。血の付いたものなんかありゃしません」

「お桃は力がありそうだね」

「田舎で育っているから力もあるでしょうよ」

二人は囲いの中から出て、まだこんな事を言い合っております。幾つかの証拠は、真っ直ぐお桃の方を指しておりますが、あの純情らしい娘――許嫁の夫を救うために、人一人殺したのではないかと思われる、聡明な娘を縛る勇気がなかったのです。

「もういちど考えてみようよ、八」

「何を考えるんで」

「まず第一に三郎兵衛は倅を殺すはずはないな。――内儀のお篠さんはどうだ」

「年寄りの側に居るんですもの、そっと人殺しに起き出すことなんか出来るものですか」

とガラッ八。

「えらいッ、八。そこまで気が付けば大したものだ」

「褒めちゃいけません」

「ところで、お栄は?」

「あの転婆娘は、眼で殺す方で、へッ、へッ」

「お前も殺されかけたろう。――その次はお仲だ。あの女は少しタチが悪いぞ」

「タチは悪くたって人なんか殺せやしません。御新造が憎くて、櫛を投り込むのが精いっぱいの悪事ですよ」

「たいそう肩を持つようだが、大丈夫かい、八」