Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 137,868 characters · 278 screens
「シッ」
そっと潜り込んだのは、室町の裏路地、今日一度訪ねたお国の家の前です。
「御免よ」
「…………」
「ちょいと起きて貰おうか」
「…………」
「開けないと、押し破っても入るが」
平次はそう言いながら、入口の戸をガタガタさせます。
「あ、どなた?――もう休んだんですが、――明日にして下さいません?」
お国の寝ぼけたような声です。
「平次だよ、手間は取らせない、開けてくんな」
「まア、銭形の親分さん」
何やらガタピシやって、漸く戸を開けると、灯を後ろに背負っておりますが、燃え立つような艶くお国の姿が、入口一パイに立ちはだかります。
「来いッ」
その豊満な腕を取って平次はグイと引くと、
「あれーッ」
闇を劈く嬌声と共に、女は敷居際に崩折れます。
「御用だぞッ」
「親分さん、とんでもない、私は何にも悪い事はしない」
「八、女を頼むぞ」
平次は何やら心せく様子で、お国の身体を、後ろに続くガラッ八に任せて、ツイと家の中へ入りました。
「合点ッ」
女の身体に飛付く八五郎、両手を拡げてガバと行くのを、女は巧みにかわして、脇の下からツイと背後に抜けました。
「馬鹿だねエ」
目つぶしの嬌笑。