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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 137,868 characters · 278 screens

Aozora Bunko

「若様とお年が十五しか違いませんね」

「後添えでいらっしゃる、若殿様とは継しい仲だが、至ってお睦まじい。奥方には今年十九になる若葉様という、それはそれは綺麗なお嬢様がある」

孫三郎はこの主人の娘がひどく自慢の様子です。

「それから?」

「掛り人の浅井朝丸様、殿様の遠い甥御じゃ、これは二十七歳、文武の心得もある」

「…………」

「外に拙者と、お腰元が一人、お松といってこれは十八、仲働きが二十六のお宮という忠義者、下女が二人、それに鉄という仲間がいる。鉄太郎とか鉄五郎とかいうのであろう、請状には名前は書いてあるはずだが、二十八になる良い若い者で、鉄、鉄で通っている」

「それだけですね」

「もう一人、門番は宇内という老人夫婦、六十を越しているが、恐ろしく達者だ」

「…………」

「外には、馬が一頭、猫一匹――」

「よく判りました。その御人数の中で、仮名文字をこれだけ綺麗に書けるのは、どなたでしょう」

「さよう、――まず腰元のお松と――」

「御嬢様の若葉様と、奥様のお勇様と――」

平次は指を折りました。

「いや、お嬢様や奥様は、このような悪戯を遊ばすはずはない」

「浅井朝丸様とやらも、書けば書けるのでしょう。