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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 137,868 characters · 278 screens
宗次郎は驚いて立ちかかりましたが、お篠の一生懸命さに圧倒されてどうすることも出来ません。
「もういいよ、お篠。お前は宗次郎を下手人と思い込んで、そんな事を言うのだろう。が、宗次郎が下手人でないことは脇差を置いて来たのでも、鞘を隠さなかったことでも解っている。お前が下手人でないことは――八五郎の顔を見ろ、あの通りニヤニヤ笑っているぜ。八の野郎はとんだお篠さん贔屓さ。第一、五左衛門は沓脱から一と突きにされて死んでいるんだ、女の手で滅茶滅茶に斬られて死んだわけじゃない」
「…………」
お篠はヘタヘタと崩折れました。
「八、もう一度やり直しだ。こんな他愛もない殺しで、こんなに骨の折れるのは珍しい。下手人になり手が多すぎだよ」
平次はそんな事を言いながら、金沢町を引揚げてしまったのです。
それから湯島へ引返す道々、
「八、二百両の金をどこへ隠したと思う?」
平次は変なことを訊きます。
「自分の行李か何かじゃありませんか」
「いや、山名屋の奉公人の荷物はみんな見たが、そんなものを持っていたのは、清松だけだ」
「ヘエ」
「下手人は昨夜の子刻過ぎ、宗次郎が帰った後へ行って、宗次郎の脇差で一と思いにやった後、二百両の金をどこかに隠し、脇差を溝にさし込み、わざと見付かるように柄だけ出して落いた、――あの脇差の血だらけな柄が見えるように溝