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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 137,868 characters · 278 screens
「…………」
「二人は鍋島様の御家中と城下の商人だが、同じ頃国許を退転し、十七年の後まで昵懇に付き合っている」
「八、こいつは面白くなって来たぜ」
「?」
「周助と閑斎は同国で昵懇で、同じ頃国許を退転したんだろう」
「閑斎は海坊主のような野郎だが、お澪は弁天様のように綺麗だ」
とガラッ八。
「口真似をするな、――転び切支丹と言っても、周助は腹の底から転んだわけじゃない、十七年後の今でも、南蛮仏の子育て観音を拝んでいる男だ、――いつどんなことで縛られて、磔刑柱を背負わされるかも解らない、母親に死に別れて、漸く乳を離れた、たった二つの娘までそんな目に逢わせたくはない」
「尤もだ」
「馬鹿野郎、人の話を囃す奴があるか」
「ヘエ――」
「どうだ八、お澪は周助の娘とみたが、――この鑑定は当るか」
「大当りだよ、親分」
「町人出の周助、屑屋をしても百両の小判を持っている男だ、その頃はまだまだ何千両の大金を持っていたんだろう、娘の行末を案じて、一生親娘の名乗をしない約束か何かで、金をつけて閑斎にやったに違いあるまい」
「その通りだよ、親分、自分の本当の娘でないから、閑斎の海坊主奴、お澪を大旗本の何とかの守の妾に差出すことを承知したんだ」