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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 137,868 characters · 278 screens

Aozora Bunko

これが増長慢心した泥棒風情の芸事のせいで済むでしょうか」

「…………」

「貧の盗みや出来心の盗みならともかく、これじゃ山脇玄内、盗った二千両に十倍の利子をつけて施しをしても、勘弁出来ないじゃありませんか」

「なるほどな、――お前の言うのも尤もだ。その二千両が還りさえすりゃ、三人の者は腹を切らなくて済むだろう」

成瀬九十郎は妙な事を言い出しました。

「それはもう、二千両の金さえ無事に還れば、役人方が腹を切るまでもありません」

「それならワケはないじゃないか」

「ヘエ――」

平次は少しつままれそうでした。

「よく聴くがよい、次平」

「…………」

「俺は居ながらにしてその二千両を捜し出してやろう――山脇玄内といえども鬼神ではあるまい、物の隙間や、節穴から入れるわけはないのだ、――多分、酉刻前後の門の閉まる前、出入りの一番混雑する時を狙って、家中の身分ある者と見せかけ、表門から威張り返って入ったことだろう」

「…………」

「金蔵の入口は、たそがれ時、係り役人の後ろに物の影のようについて入ったに違いない。役人の後ろにヒタと付いて、向うの方、蔵の中から物音を聞かせるのだ。役人はその物音に心ひかれて、あたふたと入ったに違いない」