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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Read 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) by 三上 於菟吉 (みかみおときち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 344,083 characters · 673 screens

Aozora Bunko

一五

わくわくと、少女の胸はとどろき躍る。

彼女は、小間使に、朱塗りの鏡台をはこばせて、髪かたちを直させながら、躍る血潮をしずめようと、両手でそっと、乳房のあたりをおさえるのであった。

一五

こちらは、雪之丞、あとからあとから降って来る杯の雨を、しずかにうけながら、心の中に仇敵の一人一人を観察しているのだったが、なるほど、どれを見ても、一ぱしすさまじい面がまえと、胆の太さを持った、なかなかたやすくは行かぬ人々だ。

三斎老人はやはり、芸道の話をしきりにしかけて来るが、その和らかい言葉がふくむ鋭い機鋒は驚くばかりで、浜川旧代官は、邪智深さで随一、横山というのは、狡猾無比、これに、広海屋、長崎屋の毒々しい下品な智慧を加えたら、なるほど、どのような悪事をも、天下の耳目をくらまして、押し切って行えるだろうと思われた。

こうした連中が心を合せて、正直、まっとうに暮して来ていた、父親を陥穽に陥れ、一家を離散させ、母親を自害させ、限りない苦悩のどん底に投げ入れたのだと思うと、雪之丞は、只、すぐに一刀に斬り殺したのでは、復讐心が満足出来なくなって来るような気がする。なぶり殺し――それも、ある場合は、刀で行るもよいが、それは最後で、もっともっと、別の手段で、心も魂も、生きながら地獄の苦しみを味わせてやらねば、辛抱ならぬものに思わ