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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Read 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) by 三上 於菟吉 (みかみおときち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 344,083 characters · 673 screens
二四
あたしは、慾はかきません――たった一度、しんみり話さえ出来るなら」
闇太郎は、驚かないわけに行かない――恋に狂う女の、痴さを、浅間しさを、いじらしさを――
二四
「あたしゃあね、闇の親分――」
と、お初は、一度醒めた酒が、今の一杯でまたボウと出て来たように、目元を染めて、ホーッと吐息をして、
「今度ッくらい、自分の身の上が儚なく思われたことはないんですよ。世の中では、河原者の身分ちがいのとさげすんでいる、舞台ッ子にさえ、わけへだての目で見られなけりゃあならないなんて――あたしだって、小屋もののむすめなんぞに生れなかったら、女だてらに、こんな渡世には落ち込んではいなかった、それを考えると、ときどきこれでも、遅まきながら改心して――なんて考えることはあっても、また、やけのやん八になってしまうんですよ」
闇太郎は、お初の、そうした愚痴に、同情しないではない――が、彼は聴き度くない。彼自身は、もう世の中に、ちゃあんと見切りをつけているのだが、仲間うちが、こんな弱音を吹くのを耳にすると、
――人をつけ、後悔しているんなら、とッとと坊主にでも商売換えをしてしまえ!