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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Read 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) by 三上 於菟吉 (みかみおときち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 344,083 characters · 673 screens
そのあべこべに、その男を、さんざッぱら、ひどい目に逢わしてやらなけりゃあ、辛抱がなりません。それで、ちっとばかし、お願いが出来たわけなの」
言葉つきも、親しみが加わり、遠慮が無くなった。
それが、平馬には、うれしくてならぬ。見る見る活気づいて、
「ほう、雪之丞を、どうしようというのだな? 何か名案があるかな?」
「あの男を、どこかへしょびき出すか、それとも、途中で生け捕るかして、きゅうきゅうむごい目を見せてやりたいのです」
「それ真剣か?」
「真剣ですとも――本気ですとも――」
「ふうむ」
と、平馬は、腕を組んで、
「女というものの執念は、怖ろしいものだなあ」
「ほ、ほ、ほ、何を感ずっておいでなのさ――そんな事は、今更言うまでもありゃあしない。女という生きものに取っては、いとしいいとしいと、思うこころが、先きの出方で、いつでも憎い憎いに変るんですよ。だから、先生なんぞも、その立派な男前で、あんまり女をいたずらして歩くと、しまいには、飛んだことになりますよ。ほ、ほ、ほ、ほ」
お初が、冷たい凄い笑いを浴びせかけた。
平馬は、顎のあたりに手をやって、
「拙者なぞ、そなたほどの女子に、せめて、毛程でも、怨むなり、憎むなりして貰いたいものじゃ」