Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Read 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) by 三上 於菟吉 (みかみおときち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 344,083 characters · 673 screens
と、署名した文が届けられていた。今夜、急用で打合せしたいことがあるゆえ、遅く、旅宿をたずねる――と、いう意味のことを、知らせていた。
――田圃――
と、いえば、浅草の闇太郎に相違なかった。
が、その処を読みおわらないうちに、男衆がはいって来て、膝を突くと、
「親方、広海屋さんから――と、いって、お迎えのかごが待っておりますが――」
広海屋と聴いて、雪之丞の心は緊張した。その後、長崎屋との争論は、どんなことになったであろう――自分が投げてやった、毒菓子に、ガブリとむしゃぶりついた二人の男の成りゆきが聴きたかった。
闇太郎の文もあり、いつもならそう手軽くうけ引きはしなかったのだろうに。
「広海屋さんは、どこにおいでなのだろう?」
「柳ばしの、ろ半で、おまちなそうでございます」
三
それなら、ろ半とやらで、ほんの短い間、広海屋と逢って、それから、闇太郎の、急用というのを聴くために、宿へ戻って遅くはないであろう――と、雪之丞は、そんな風に考えたので、舞台化粧をザッと落して、着類をあらためると、迎えのかごというのに、躊躇なく身を委せた。
かごと一緒に、使いに来た男は、小柄な、はしっこそうな若者だった。