Japanische Klassiker mit Furigana
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ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Lesen Sie ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.351 Zeichen · 213 Bildschirme
私はこのハンカチをとどけて、もう一言しみじみと慰めてあげたい気持ちになり、患者控え室へ通うドアに近づいた。
話し声がもれている。神官の声だけ、間をおいてはたたみかけるようにもれ聞こえる。夫人のほうは返事もせずにただすすり泣いている模様──
「──ね、心配するな。お前もたいした病気じゃなかったんだろう? ええ? そう申されたんだろう? ね、なぜ泣くんだ?──何も泣くことはないじゃないか。さ、元気を出しなさい、元気を。お前は元来気が小さすぎるんだよ。神経衰弱と申されただけでそんなに泣くなんて、おかしいじゃないか。──うむ、やっぱりそのくらいのことで泣くのも、その神経の衰弱したせいにちがいない。──私を見なさい。精神力だよ。ねえ。お前があんなに心配してくれた私の胃病だってたいしたことはないと博士さんが保証してくださったのだよ。もう大丈夫だ。エックス光線で腹の奥まで見てもらったんだからな──」
神官はしきりに無病の夫人を慰めている。夫人は夫を慰めるわけにゆかぬ。
「はい。私、元気を出しますわ」ようやく彼女は一言答えた。
「そうじゃ、そうじゃ。元気を出してくだされ。