Japanische Klassiker mit Furigana
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ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Lesen Sie ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.351 Zeichen · 213 Bildschirme
結婚
と言いながら私の頭をなでたのだそうな。
私は今でもこの変てこな大頭をなでては、生まれる時から死にそこねた私だったなあと、思う。四十年の一生の間、死にそこねた場合が二十回はあった。そのたびに、するりと危地を脱して今日まで生きてきている。しかし、今度こそはどうやら危なそうだ。
結婚
カヤノが、「花嫁さんだ、花嫁さんが来た」と叫んで飛び出していった。開けっぱなしにされた障子のあいだに荒れ草の野原が一つの背景となって舞台をつくっている。私はまくらの上の顔をそちらに向けて現われきたる花嫁さんを待つ。
このごろこの荒野の仮小屋村落には結婚式が多い。戦争でやもめがたくさんできた。そのやもめたちや、復員した青年たちが、それぞれ家庭をつくるからである。結婚と言えば何よりも華やかな喜ばしいお祝いだ。幼いカヤノさえあんなに、はしゃいで飛び出したほどだ。無一物にひとしい仮小屋暮らしながら、花むこの浦田君の家では障子を張りかえ、畳を買い入れ、たいも、かまぼこもどっさり求め、大鍋を庭にすえ、景気よく芋など煮て、花嫁の来着を待っているだろう。
障子のあいだの舞台へ、ひょいと紋付きばかまが現われ、すいと通り過ぎる。