Japanische Klassiker mit Furigana
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ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Lesen Sie ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.351 Zeichen · 213 Bildschirme
友愛
婦長に連れられて死体のそばへ寄ったとき、一人一人のあどけない顔に涙はあふれたが、最後に山下秀子のそばにしゃがみ、皮は焦げてむけながら、おでこや丸い鼻など生きていた先刻の面影さながらなのを見、ちぎれ飛んだ防空服のわずかに胸に残った小犬のブローチを手にしたとき、おのずから声に出でて泣き出した私であった。こんなに早く死んでゆく子であったなら、あんなにひどくしかって、しかって、しかり通さねばよかったのに……
私らは熱灰を踏んで死体を生化学教室の横の防空ごうに仮埋葬した。──天草には白山茶花が多い。この仮墓の上に白山茶花を植えようと思いながら、私は病床に伏す身となり、いまだにその願いを果たしていない。
友愛
へちまだなの緑で夏陽をさえぎる縁に寝床を持ち出し、暑さと高熱にたぎる五体にぬれタオルを巻いて冷やしながら、私はある論文の草稿に鉛筆を走らせていた。昨夜も熱のためほとんど眠っていないので、頭がぼんやりしている。頭がぼんやりしているが、そんなことで仕事を休んでは生命の期限までにでき上がらない。とにかく目の見えているうちに、手の動くうちに書いてしまわねばならぬ。