Japanische Klassiker mit Furigana
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ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Lesen Sie ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.351 Zeichen · 213 Bildschirme
悪意なき虐待
と誠一が尋ねた。
「煮え湯をぶっかけろ。皮をむいて、天ぷらにして食っちまえ!」
ねずみの天ぷらはおいしかった。しっぽは骨ばかりで食えなかったが、頭は鼻の先まで食べられた。肉は小鳥ほどでもなかったが、臭味も癖もなく、若いにわとりのようだった。
「この前のも隣のねこにやらずに食べたらよかったねえ」
「うん、惜しいことをしたな。うまいはずだよ。人間と同じものしか食わぬのだから」
からっぽになった皿を前において、舌なめずりしながら私は考えた。どうせ死ぬと決まってからは、じたばたせぬがよいわい。じたばたすると、かえって死期を繰り上げられるかもしれぬ──
悪意なき虐待
私らは五人きょうだいであったが、妹の一人は主人の出征中に無理な生活のために死んだし、私と二人の妹とはそれぞれ戦争でつれ合いを亡くしたので、夫婦そろっているのは弟だけである。その弟が中央アジアから復員してきて、家族をつれて私の家に同居することになった。降伏後二か年ひっそりとしていたこの家がにわかににぎやかになった。夫婦子供無事にそろって、悲しい思い出をもたぬ家庭というものは、こんなにまで幸福なものであろうかと、横から見ながら事ごとに思う。