Japanische Klassiker mit Furigana
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ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Lesen Sie ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.351 Zeichen · 213 Bildschirme
娘カヤノの養女話
本人がわざわざ訪れてじかに話しなさるもあり、ていねいに仲人を立てて問い合わせられるもあり、遠い所からは手紙で言って来た、子供のできなかった老夫婦やら、一人娘を亡くした中年の方やら、ゆくゆくはわがむすこの嫁にというのやら、子供はたくさんいるが財産も多いからさびしがらせもせず将来も保証するからというのやら、ただかわいそうだからというのやら、いろいろであった。
私は申し込みを受けたとき、まず私の胸にわき上がるのは無念さであった。ごく手軽にこんな同情を受ける身分に私たち親子が落ちていることをまざまざと知らされる無念であった。どこのどなたとも知らぬお方から手紙一本で申し込まれると、やれやれこれで助かったとすぐさますがりつく私であろうか?
無念がうすれゆくと、人々をあわれに思う心が起こるのだった。この人がこんな申し込みをしているのは、自分の生命と財産とがいつまでも有るものと決めているからである。その人と富とのあてにならぬことは、一夜にして妻と財産とを失った私がいちばんよく知っている。あすさえ分からぬ身でありながら……と思うとまことにあわれである。
そのうちに感動もしずまって、ようやく感謝の念が起こってくる。