Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
ああ本当に、このようなことに廻りあおうとは! 伸子が涙を止めあえなかったのは、彼の理解の嬉しさばかりではなかった。彼が、初めて、男らしい権威を以て、自分の心持を明言してくれた歓喜である。ああ! 彼は初めて、男らしく口を利いてくれた。
佃は心配して、度々伸子を撫でた。
「大丈夫ですか?……あまり亢奮するといけませんよ」
「大丈夫よ。病気になんぞなるものですか。……でもお互に、気をつけて、丈夫でいましょうね、私どもはどうせ貧乏よ。お互が助け合って生活して行くのよ。私は親達から何も貰う気はないのだから――勿論くれるものもないけれど」
伸子は、二人の貧乏さえ、悦び愛するように笑った。
彼らは歩道に降り、厳しい河風が、寒気を吹き通すのも、頓着なく歩いた。
佃は、やがて心づいて、時計を見た。
「九時半すぎていますが……いいのですか」
伸子は、寄宿舎の出入簿に、図書館と書いて来た。図書館はもう閉まる頃だ。伸子は一寸考えた。
「――いいわ。若しいけなかったら、明日、ミス・リイに理由を話したってすむことですもの」
伸子の心は、もう何でも、彼と一緒だという信念で勇気に満ちた。