Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
二
一
「どんな工合ですか」
と云った。
「Oh! Please don't!」
伸子は彼が変に頑張るのが看護婦に対して恥かしいような気がし、きかれてちっとも嬉しくなかった。彼女は泣きたいような頭の中で呟いた。
「どうしてあの人は口を利くのだろう」
黙っていると、佃はもう一度押しつけるようにききなおした。
「いかがですか、気分は」
伸子はそれに答えず、悲しげに咎めた。
「何故あなたはものをおっしゃるの?」
いきなり神経的な涙が瞼一杯になった。伸子はめいった気持を感じながらそのまま眠った。
二
一
八階の頂上に寄宿舎の食堂があった。その室は建物の翼の出張りにつれて奥の方で拡がっている。今、晩餐の最中であった。白布をかけた数十のテーブルと、それを取り繞んで坐っているおびただしい娘たち。ざわめき、陽炎のような話声、笑声、食器のふれ合う音などが空中へ鳴った。伸子のところから大厨房に通う扉の一つが見えた。その扉は絶えず開いたり閉ったりする。給仕盆を抱えた給仕女が出入りに靴の爪先で扉を蹴るたびに、料理女の姿だの、大鍋のかかった料理ストオヴだのがちらりと見えた。暖かい台所の風も来る。