Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

七

自分が雄々しくなろうとする決心、それが無駄でないという信念も、結局は最後に来るその芥子粒ほどの望みによって、全体命づけられることを、伸子はいなめなかった。

伸子は、佃のところへ手紙を出した。彼女は帰りたくなったこと、彼が留守でも家へ入れるようにして置いて欲しいことを知らした。佃から、伸子が帰ろうとしていた日には、夜外出するから、その翌々日にするようにと云って来た。台所の入口で、受取るなりそれらの文句を読み終ると、伸子は、体の内部からせきあふれたひとりでの勢いのようなもので、そのハガキをやぶいた。彼女は、もう帰ると定めた日を、翌々日まで延したりするのは厭であった。

七

その夏、伸子は久しぶりで短い小説を一つ書いた。春から計画していた長いものは、内部的に不足なものがあって遂にできずじまいであった。結婚してから、仕事ができないことが絶えず彼女の気を重くしていた。それが、田舎に行っているうちに、幾分心のもちかたが変り、とにかく集注して四五十枚のものが書けた。出来栄より、書けたというそのことが、伸子にとっては一つの吉祥であった。仕事ができるということは、自分や自分の周囲の生活に対して、曲りなりにも一つの精神的足場の持てる証拠ではなかろうか? その足場が持てさえすれば、自分が田舎で、歎きと勇気との縺れ合った感激の中に