Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
四
その特別の調子が最初伸子の注意をひき、次いで恐怖をよび起した。
「――――」
伸子は何か云おうとして口を開きかけたが、そのまま黙って息を吸い込んだ。彼は、では、しんではそんなに冷静に、効果を見守る余裕をもって、あれをやったのであったか。――佃は、自分が五つのとき生みの母に死なれたこと、その限りない淋しさを、伸子の両親を愛し彼らからもまた愛されることによって充そうと、どんなにか楽しんでいたのに、円満にゆかず、こんな遺憾なことはないと、自身あのように涙に咽んで云ったのに。――そうであったのか。……伸子は、大声あげて笑ってやりたかった。同時に佃を打ちのめしたかった。荒々しい自棄が、彼女を吹き捲った。佐々も伸子も、その哀れっぽい述懐にうまく引きこまれた。多計代さえ、それからは少し調子が和んで、ずるずるに、「では」と云うようなところで落着いたのであった。
四
伸子は老人や夫と一緒に、大抵毎日、どこか見物に出歩いた。泉岳寺へも行った。博物館のように大きな硝子張りの棚があって、古びた義士の衣類、筆跡など陳列してある。
大石内蔵之助使用の扇などを眺めている最中、伸子は、「こうしていていいのか」