Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
伸子は、帳面の上に両手を置き、弱ってミス・プラットを見た。
「食卓についた時、佃さんがあなたと私とに椅子をなおしてくれたでしょう? あのとき、彼のなおしかたが、あなたに対してと私に対してとは違っていたのですよ――気がつきましたか?」
伸子は、頭を振った。
「いいえ」
「私に対しては丁寧で、いささかも非難できない様子でした。けれどもあなたにはずっとぞんざいに、片手でしましたよ」
ミス・プラットのところへ行くと、何か、これに類した話が出た。これまで一番楽しかった時間が、さっぱりしないものになった。ミス・プラットが、佃によい感じを持たないという以上の自分に対する偏愛が、伸子には苦しかった。女らしく行き届いた残酷さで、佃の細かいあらまで云われると、伸子は却って反抗心に燃やされた。
紐育市から仏蘭西へ出征していた兵士の凱旋当日であった。
寄宿舎は早朝から、ほとんど空になった。伸子は近頃、そういうことにあまり興味が持てず、寄宿舎にとって未曾有な朝の静寂を楽しみながら、部屋に残っていた。窓から見下す街路も人気なく、日曜の朝のような感じであった。伸子は、編み下げのままの髪の先を指に巻きつけながら、窓際に佇んで、祝日らしい戸外の景色を眺めていた。