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Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

グラント将軍の墳墓のまわりを歩きながら話した夜の、熱の籠った確乎たる彼はどこかへ消失した。佃は却って、前より恐ろしく感傷的になった。伸子は、外界から来る不安や不愉快さを、彼との対座で忘れ、互に勇気づけようとした。

「ね、本当に私どもは好い生活をしましょう、自分達さえ動じずにやって行けば、何がきたって安心よ。ね、助け合ってよくしあう生活をしましょうね」

佃は、喰いつくように伸子を見守った。そして、沈鬱極まる調子で呟く。

「どうかそうしたいものです。しかし……分らない……時が万事を証明するでしょう。それまでは Great big“IF”です」

「――どうして? 私どもはもう決心したのじゃないの? 決心したら決心し甲斐のあるようにやって行くだけじゃありませんか。卑怯よ、今更そんな……」

彼らは互に片時も離れられないように、ますます執着を深めつつ、絶え間なく、そういうこじれた熱情の衝突から涙を流し合った。

復活祭が過ぎ、北方の気が遠くなるような五月が来た。樹々は一斉に新緑に包まれ、溢れる日光を受けて歓びおののいた。空気にも、朝も、昼も、夜も鼻翼をくすぐる若葉の香がみちた。