Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

離れの縁側で、保が熱心に何かやっている。近よりながら伸子は、

「何やってるの」

と、声をかけた。

「――来たの」

あどけない生毛の渦巻のある横顔を見せ、保は、覗きこんでいる箱から目もはなさない。

「なあに」

伸子は弟の肩越しに首をのばした。それは二尺に三尺ぐらいの苗箱であった。細かい細かい黒土を見事にふるいならしたところに、四分ほどに延びた芽生えが、弱々しく、ひょろり、ひょろりと並んでいる。

「何の芽生え?……少し貧弱みたいね、いいの、それで」

保は、はじめて、

「ちっとも好かあないさ」

と、当惑そうな表情で伸子を顧みた。

「シクラメンの実生なんか、専門家だってそう楽々じゃあないのさ。だから僕なんか下手なのあたりまえなんだけれど……悲観しちゃうなあ」

伸子は、笑いだした。

「でも感心に、生えたじゃないの。――だんだん大きくなるんでしょう?」

「――解らないさ、そりゃあ腐り易いんだもの。芽をだすに都合よく暖めると、すぐ泥に黴が生えちゃうし。――困ったことに、ほらこういうの、ね、変に勢いがないでしょう」

保は、箱の隅の凋れた一本の芽を指さした。

「なぜこうなるか原因が判らないの。