Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
「船に酔いつづけていたからよ、可哀想に――勿論『林檎のような頬ぺた』は、いつだってしていないけれど」
「――永く外国にいた人というのはあんなもんなんだろうかね……変だね何だか――挨拶も人なみにできないようでさ」
「母様があまり堂々挨拶なさるから面喰ったのよ」
佃が手や顔を洗って来、果物や紅茶がテーブルに出たとき、伸子は、
「みんないらっしゃい。お茶!」
と弟妹たちを呼んだ。三人一どに来た。伸子は、
「和一郎さん、保さん、つや子ちゃん」
と順ぐり佃に紹介した。佃は、おかっぱではにかんでいるつや子に、優しく笑って、
「いらっしゃい」
と両手を差し出した。
「さあ行ってだっこしておいただきなさい」
皆が笑いながら見るので、つや子は、ますます極りわるく、佃の方に行こうとはせず、
「お姉ちゃま」
と伸子にからみついた。幼いつや子が佃の膝に行くか行かないか、冗談のような真剣な注意で皆が見守っているのを感じ、彼女は、つや子が佃になついて欲しかった。
「どうしたの? つや子ちゃん、だっこして御覧なさい。――そーら、お姉ちゃまごと動き出したぞ……」
伸子は、小猿のようにからみついたつや子を膝にのせたまま、佃の方へいざり出した。