Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
彼女は昨夜と同じ、白絹のカラアのついたさっぱりした紺の服で広間へ下りて行った。
朝の広間は澄んで清らかで、大理石の円柱や熱帯植物の鉢植が、埃一つない空気の中に納まっている。
伸子は、人影疎らな広間を見渡した。食堂の入口に近い長椅子に並んで、父と佃とが話している。彼女はまっすぐそっちへ行った。
「やあ、起きたね」
彼女は父に朝の挨拶をした。そして、彼女のために、椅子を引きよせた佃に、
「ゆうべは失礼いたしました」
と云った。
「私こそ失礼いたしました。お疲れになりましたろう」
佐々は佃とは、すぐ話を元に戻した。彼らは、南波武二を尋ねる広告を日本字新聞に出すこと、佃が市の宿泊所の名簿を調べることなどを定めた。
傍で二人の話を聞きながら、伸子は佃がここへ来ても、昨夜彼女の目についた雰囲気を顔や声に持っているのを感じた。その上こうやって相対していると、彼には、彼女の広い、漂っている情感を引きまとめて、狭く何処かに引きつけるようなところがあった。その引きつけられるように感じるものは何なのか。外面的なものでないのは明らかであった。彼の服装は、朝のはっきりした光の中で昨夜にまして気が利いても見えなければ、上等でもなかった。