Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
「はい、はい」
出てゆく伸子を、立って待っていて、多計代は、
「どんな用事があるのか知らないけれど、少しはこっちも手伝うもんだよ」
と云った。
「人一人が殖えれば、台所だってそれだけいそがしいんだから、そうお客様になられちゃ困るよ」
独りであった時のように、単純に、
「いやな母様! ちっとも忙しくなんぞない癖に」
とは云えない。母は、伸子を奪った佃に向ってのむしゃくしゃ、彼に自分を奪わせた伸子に対する寂しさを、ぶちまけているのだ。伸子が、テーブルの上など片づけるのを、多計代は眺めながら、
「一体、毎日何をしているんだい、佃さんは」
などと云った。
「本当に大学へ行けるようになるのかい?」
「来週からですって……」
「――じゃあまあいいけれど――人に訊かれても、何処へも出ていません、じゃ困るからね、あの年で……お前からよくお礼を云うようにお云いよ――お父様、あのお忙しい中を、この間だってわざわざ津村さんの家までいらしったんだよ、そのために……」
佃は、大学へ通うようになった。津村博士の研究室へ客員のようにして。やがて彼の専門の講師にでもなるのであろうが、それで生活は立たない。