Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
伸子は、鐘楼のそばを、裏通りへ抜けた。斜にもう一筋、ごたごたした大通りを横切って、静かな屋敷町に出た。彼女は散歩がてら、母やつや子に会うつもりなのであった。
門の修繕で、左官が入っていた。木の船の漆喰を、詰らなそうに小僧が掻きまぜていた。つや子は、書生の手につかまりながら、気をとられてそれを見ていた。伸子は遠くからその恰好を見、思わず笑った。書生がそれを見つけ、つや子に何か云った。つや子は、ひょいと顔をあげて、往来をゆっくり来る伸子を認めると、
「やあ、お姉ちゃまあ」
と、とびついて来た。
「お母ちゃまは?」
「いらしってよ。おねえちゃま、なぜもっと早くいらっしゃらないの、こないだ、じき来るって云ったのに」
「うん……」
伸子は、つや子を助けて、菰や板切れの間をまたいで通った。つや子は、伸子の袂の先を引っかついで歩きながら、じろじろ姉の手元を見て笑った。
「はあ、見つけたな、おずるさん」
「うん、僕ちゃんとわかったの、だって、この間おっしゃったでしょう?」
「――でもこれは違ってよ」
伸子は、とぼけて云った。
「ただの古新聞」
「うそう! わかってよ、ちゃんと見えるわよ、コドモノクニよ」