Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

彼女は少し顔つきをかえ、笊の中を見た。

「いつまでこうしておられますか分りませんし」

彼女は中年まで小学校の教員をしていた。それから結婚し、その夫に二年前死別したのであった。

「何かお話があるの?」

「え……少し……いろいろ私も先々のことを考えますもんですから――」

暫くして、おとよさんは伸子に訊いた。

「もうどのくらいいらっしゃるお積りですか」

「そうね」

伸子は足をぶらぶらふりながら元気ない笑顔をした。

「当なしよ、帰りたくなるまでいるわ」

おとよさんは、ちらりと女らしい偸見で伸子を見た。

「……佃さんが何でもよくおわかりですから、伸子さんはお仕合せですわ」

「…………」

「……よくお独りでいらっしゃいますことね、男の方だのに。お手紙参りますか」

五日ばかり前、彼は、伸子が満足するだけ逗留すればよいこと、彼は彼の愛が理解される時を楽しみにいくらでも待つ、と云ってよこした。この手紙を受取った時、伸子は嬉しいより腹立たしく、淋しかった。彼は、むろん伸子が仕事など出来ず、遠いところで彼に心をとらわれて暮していることを知りつつ、それには一言も触れず、自分の堅忍を体裁よく示していた。