Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
土足にかけられても、喜びます。けれども、恐らくそんなことはあるまい――たださえ、どんな工合だろうと世間から目をつけているのに、何も、それ見ろ、と思われるようなことを、自分から書かなくってもいいだろう」
彼女は、女らしい毒々しさでつけ足した。
「それとも、何かい、お前の得にでもなるようなことがあるのかい」
伸子は、相手が母でなかったら、何と云ったか知れない勢いで、
「おやめなさい」
とさえぎった。
「そういうものの云いようをし始めたら、しようがないじゃあありませんか」
多計代は、伸子の顔を見、幾分弱く云い張った。
「……だってそうじゃあないか」
彼女は、それから長く、亢奮した心のめりはりに引摺られながら、伸子が佃との関係で彼女にかけた苦労を思い知るべきだということや、伸子の芸術が、目に見えて堕落し始めたというようなことを攻撃した。伸子は、議論がましいそれらの言葉から、真心を打つものを受けられず、喰い違った気持で帰った。
六日後、動坂からまた迎えが来た。土曜日であった。今晩は、是非佃と二人で来てくれという口上であった。先日伸子が呼ばれた時、多計代は、いずれ、佃を呼んで話さなければならないが、と云った。